サモア招聘プログラム概要
10月 6日(金) サモアのみんながやって来た!
10月 5日(木)に来日していたサモア一行は、同行する国際フレンドシップ協会(以下、IFA)の方々とともに、新幹線・専用バスにて午後5時ごろ設楽町の添沢温泉に到着。本来は翌7日に再会の予定であったが、ぜひサモア一行を出迎えたいと、サモアに派遣された生徒たちは午後6時30分頃旅館を訪問した。1ヶ月半ぶりの再開とあって、名前を呼び合ったり、駆け寄って抱き合ったりと皆嬉しそう。話は尽きないが、長旅の疲れを癒してもらうためにも、この日は早めに別れることにした。
10月 7日(土) ホームステイへ
・ホストファミリーとの対面式
午前9時30分頃、サモア一行が田口高校に到着。校長室にて簡単に打合せを行う。会議室に移動し、ホストファミリーの皆さんもお見えになった頃合いを見て、IFAの方の司会で対面式を行った。
歓迎の挨拶・派遣団代表挨拶に続いて、ホストファミリーと、ステイする生徒との対面。お互い緊張しつつもサモアの生徒達は日本語で、ステイ先の家族は英語でそれぞれ挨拶を交わした。
対面式を終えて、それぞれ荷物を持ってホストファミリー宅の車に分乗。今日と明日は、それぞれの家庭で過ごすこととなる。ちょうど田口の町は秋祭りということで、共に日本の祭りを楽しんだ家庭もあったようだ。
10月 9日(月) 田口高校訪問
・歓迎集会
この日は体育の日(祝)ではあったが、休日の振替をして平常通り授業を行った。
朝、サモア一行は、それぞれホスト生徒と共に登校。まずは校長室にてブリーフィングを行い、その後、全校生徒の待つ体育館へ。生徒会主催の歓迎集会が行われた。
校長挨拶・生徒会長挨拶に続いてサモア団長挨拶・団員紹介。そして文化交流として、サモア一行からは紹介ビデオの上映と、サモアの歌や踊りを披露してもらった。たった5人ながら迫力ある踊りに生徒達は感嘆した様子。田口高校からは、校歌・学校紹介スライドショーに続いて林業科に伝わる鴨山音頭を披露した。サモア一行も飛び入り参加して、見よう見まねで楽しく踊っていた。
最後に、生徒会役員よりサモア一行へ林業科手作りの記念品を贈呈し、歓迎集会を終えた。
・授業体験 その1
控室に戻って休憩後、まずは書道の授業を体験してもらった。サモアの生徒にとって、初めての毛筆である。皆、興味津々で、国語・書道の先生から手ほどきを受けながら、ホストの生徒と一緒になんとか書き上げることができた。
続いては、3年生の英語の授業に参加。ALTの先生にも参加してもらい、小班に分かれて英会話。本校生徒は、拙い英語ながらもサモアの生徒と積極的にコミュニケーションを図ろうと頑張っていた。
・奥三河郷土館へ
休憩の後、一旦高校を出て、ホストの生徒と共に設楽町総合センター内のレストランへ移動して昼食。その後、奥三河郷土館を見学。
奥三河郷土館は、小さいながらも設楽町を中心とした北設楽の歴史・文化・自然関係の資料が凝縮された博物館。当日は、文化財保護審議会委員の方から展示物について丁寧に解説をしていただき、サモア一行も興味深そうに見学していた。
・授業体験 その2
田口高校に戻って休憩の後、林業科3年の課題研究の授業に参加。レーザー加工機による、キーホルダー作りを体験してもらった。コンピュータを操作して自分の名前を入力し、それをレーザー加工機にてキーホルダーに焼き入れて完成。折角なので名前は漢字であてて思い思いのフォントで作成。レーザーが木片を加工していく様子を興味深そうに見ていた。完成したオリジナルのキーホルダーをお土産にもらい、大変喜んでくれた。
・部活動見学
最後に、部活動の見学をしてもらった。
まずは茶華部。お茶を点てる様子を興味深く見ていた一行。お茶の味はおいしい、苦いと感想はいろいろだったが、お茶菓子に出した栗蒸羊羹は一様に今ひとつだったようだ。あとで聞くと、どうもあの黒っぽい色が馴染まないそうである。それでも、お茶を点ててみませんか?と勧めると、部員達に手ほどきを受けながら、楽しそうに点てていた。
続いて訪れたのは剣道部。模範試合などを見たのち、防具をつけて打ち込みの体験をしてもらった。最初は竹刀の「パアーン」という音に驚き、気後れした様子であったが、すぐに慣れて何度も打ち込みを繰り返していた。最後にサモア一行に、部員から記念の手ぬぐいを手渡し、記念撮影。
これで予定していた行事は全て終わったが、活動中だった他の部に飛び入り参加したりして、ホストの生徒と帰路につくまで、田口高校生との交流を楽しんでいた。
今夜が、ホームステイ最後の夜である。
10月10日(火) 設楽町内見学・お別れ会
@ A
B
C
・設楽町内見学
朝、サモア一行はホストの家族に送られて田口高校に集合。一旦荷物を高校に置いて、設楽町の車で町内施設の見学に出かけた。
@まずは、設楽町役場にて町長を表敬訪問。設楽町の印象やホームステイの様子などについて懇談をした。
A続いて訪れたのは、関谷醸造。ちょうど日本酒の仕込みの時期とあって、醸造行程がフル稼働している工場内を見学した。独特の香りの中、日本の伝統食が近代的な設備によってつくられていく様子に興味津々の様子であった。
B中田クリーンセンターでは、北設楽郡内のゴミが細かく分別されて回収・処理されていく様子を、担当者の説明を受けながら熱心に見つめていた。
C愛知県最高峰かつ愛知県内唯一のスキー場がある茶臼山高原を訪問。昼食の後、リフトで山頂に行って散策をしたり、広場でフリスビーをしたりと、思い思いに高原でのひとときを過ごしていた。
・お別れ会
設楽町の主催で、夕刻7時頃より設楽町立設楽中学校のホールにてお別れ会が行われた。ホストファミリーの皆さんはもちろん、設楽町長をはじめ、今回の交流事業に協力いただいた設楽町の皆さんや、田口高校校長をはじめとする関係職員や生徒会一同、そして交流授業に参加した高校生有志も多数参加した。
設楽町長より開式の挨拶、サモア団長よりお礼の挨拶を頂き、田口高校校長の乾杯(もちろんジュースで)の音頭でお別れ会は始まった。
津具天狗太鼓の勇壮な演奏ではサモア一行も参加してサモア風のばちさばきを披露したり、餅つきの実演では周りのかけ声を受けながら杵を振り下ろしたり、ついた餅を丸めて試食したりと、楽しい時を過ごした。
歓談の後、サモア一行のダンスが披露された。参加した高校生をはじめ多くの方が共にダンスに加わり、大いに盛り上がった。
そして最後の挨拶の時となった。ホストファミリー代表の方からのお別れの挨拶に続いて、サモア生徒一人一人より別れの言葉。涙ながらにホストの生徒と抱き合い、別れを惜しんでいた。
皆の話が終わると、IFAの方よりお礼の挨拶、設楽町国際交流委員会会長のスピーチをいただき、全員で記念撮影をして式を終えた。その後も、サモア一行は、ホストファミリーや出会った人々と、時間が許す限りいつまでも別れを惜しんでいた。
サモア一行は、今夜は再び添沢温泉にて泊。明日はいよいよ設楽町を発つ日である。
10月11日(水) バイバイ!
午前8時20分ごろ、ホスト生徒は田口高校に集合して添沢温泉までサモア一行を見送りに行く。皆、宿の玄関先にて待っていてくれた。互いに思い出話に花が咲く。
名残は尽きないが、新幹線の時間もあり、サモア一行はバスに乗り込み出発。再び会えることを祈りつつ、互いに見えなくなるまで手を振り合っていた。
サモア招聘を通しての所感
8月のサモア派遣に続く、サモア招聘事業に田口高校が参加できたことは、山間小規模校ゆえに国際交流とは縁遠い本校にとって、またとない貴重な体験となった。
とりわけ、礼儀正しく、高校での体験活動でも物怖じせずにチャレンジするサモアの生徒達の姿は、ともに授業等に参加した田口高校生にとってもよい刺激になった。
短期の滞在のため、ともすればスケジュールが過密になりがちだが、設楽町見学や高校訪問では、余裕を持って過ごしてもらえるよう、設楽町とも協議を重ね、工夫をした。高校訪問については、無理に高校のペースに合わせることはせず、本来の授業日程からは切り離して授業等に参加できるようにした。また、ステイ中はできるだけ多くの時間をホスト生徒と共に過ごせるように心がけたつもりである。
今回の招聘時業では、サモアとそのホストの生徒ばかりでなく、授業等に参加した生徒達とも、言葉や文化の違いを超えて、楽しそうに語り合う姿を何度も見た。彼らの姿が、そのまま両国の未来の姿となるよう、心から願っている。また、彼らの中で1人でも、将来両国を繋ぐ役割を担うようになれば、素晴らしいと思う。そんなことを期待してしまうほど今回の交流は素晴らしいものであった。
今回の事業に参加した生徒達がこれからも友情を深め、未来につながる良き関係を築いていけることを強く望んでいる。
末筆ながら、「奥三河郷土館」および「設楽町内見学」の写真は設楽町より提供を受けた。また、「設楽町内見学」については、広報したら11月号(2006 No.12)を参考にさせていただいた。ここに、改めて感謝申し上げたい。